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生き物係
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テキスト
投稿日
Aug 31, 2022
 
過去に杉本さんが記事を書いてくれましたが、Fusicでは田んぼで稲を育てています。
田んぼにはIoTデバイス(カメラ、センサー、etc)を設置してモニタリングをしていますが、せっかくなので自分が最近携わっている技術である人工衛星の画像、つまり宇宙からなにか見られないかと実験してみました。
 
最初に結論を言ってしまうと
  • NDVIという指標で田んぼを見てみると、稲が育っているっぽいことを観測できた
というのがネタバレです。
 
では簡単に紹介します。
まず、衛星画像のデータですが今回はSentinelというESA(ヨーロッパ版NASAみたいな組織)が運用しているものを利用します。
 
過去にLandsatというNASAの衛生画像で田んぼを見てみたこともあるのですが、地上分解能が30mと比較的荒いのであまりよく見えませんでした(大きな畑を見るときはこれくらいのサイズで問題ないんですけどねー)。
 
今回使ったSentinelの画像は地上分解能が10mと無料でダウンロードできる衛生画像としては比較的高分解能です。
 
notion image
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Landsatで見てみたとき
notion image
Sentinelで見たとき
 
今回は光学センサを搭載した衛星の画像を利用しています(sentinel-2)。
撮影周期は平均して5日に1回くらいは日本の上空にもきてくれるんですが、雲で覆われていたりすると地表が見えないので晴れの日だけをダウンロードしています。
 
おおよそ1ヶ月に1 ~ 3枚くらい使える写真が見つかる感じです。
 
光学センサを搭載した衛星の画像であれば大抵の場合、可視光 + 赤外領域の写真が含まれています。
その場合NDVIというものを計算することができます(赤: 600nm付近 と 近赤外: 850nm付近)。
 
ここではNDVIについては詳しく話しませんがざっくりいうと、植物がたくさんいる(たくさん光合成してそう)という度合いを -1 ~ 1の間で評価できる指標です。
 
NDVIが小さいときは、あまり植物が存在していなくて、あんま光合成してなさそう
NDVIが大きいときは、植物が生い茂っていてたくさん光合成していそう
みたいな解釈をすることができるとざっくり考えてもらっていいでしょう。
 
notion image
 
僕らの畑のNDVIの時系列変化を、2021年7月 ~ 2022年8月までみてみたものです。
横軸がプロットIDで見づらくて恐縮です(プラグインで作ったグラフなのでいじれなかった…)
 
一年の間で上げ下げがあるのがわかりますね。
 
特に最後の3プロットに注目してみましょう。
それぞれ
  • 2022-0608
  • 2022-0720
  • 2022-0827
に対応しています。
 
僕らが田植えをしたのは2022-0611なのでちょうど衛生画像は田植えの3日前を撮影していました。
これをみてみると、田植え前は低いNDVIの値を示していることがわかります。
 
しかしその後順調にNDVIの値が上がっていってますね。
これは、稲が育ってきていることを示していると考えられます。
 
ちなみにデバイスが送ってくれた、それぞれの日での写真は
notion image
田植え当日(2022-0611)
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2022-0720
 
notion image
2022-0827
 
とまぁ、とりあえずこんな感じでNDVIを計算してあげれば宇宙からも田んぼの様子をある程度なら推定できそうな感じがしますね。
 
個人的に気になっているのが
  • 収穫後にしっかりとNDVIの値が大きく落ちてくれるのか
  • 稲が黄色くなった時に指標はNDVIのままでいいのか?(NDYIという黄色に反応する指標もあると聞いたことがあるので、穂がついたらこっちの方が良かったりするのかな?)
 
次回はそのあたりの結果を書こうかなと思ってるのでお楽しみに!
 


 
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