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投稿日
Sep 9, 2022
宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)のキックオフイベントが久留米で開催されていたので、参加してきました!
 
ISTSについて
  • ISTS(International Symposium on Space Technology and Science)は世界の宇宙工学等の研究者等が一堂に会し、研究発表や討論を行う国際会議です。昭和34年に第1回大会が東京で開催され、以来、ほぼ隔年で開催されており、世界各国から1日あたり1,000名以上が来場する国内最大の宇宙国際会議です。次回の開催地は久留米で、令和5年6月開催予定です。
 
いくつかセッションがありましたが、今回参加したセッションについてレポートしたいと思います。
 
「未知の月面を切り拓く日本のものづくり力」
スピーカー
  • 中村 貴裕 氏 (株式会社Midtown代表取締役CEO,月面産業ビジョン協議会座長代理)
  • 三宅 創太 氏 (株式会社ダイモン取締役COO,2023国際宇宙産業展統括アドバイザー
モデレーター
  • 中島 浩二 氏 (タレント)
 
アポロ計画から半世紀以上経ち、再び月を目指す「アルテミス計画」がアメリカで始動しました。
日本もそれに伴い、月面開発に向け、様々な計画を予定しています。今回はその月面開発のトップランナーの声を聞けるセッションでした。
 
そもそもアルテミス計画とは・・・
簡単にアルテミス計画の趣旨をざっくり、説明すると、
・2025年までに初の女性宇宙飛行士を月面へ着陸させる
・月面での持続的な駐留と月面開発・月面経済を構築する
 
最初は無人月周回飛行、次に有人月周回飛行、最後に有人月面着陸という3ステップで構成されています。アルテミス計画の次には、2030年代に、火星への有人着陸も見据えているという壮大なプロジェクトです。
 
アルテミス計画を知りたい方は、こちらの記事をぜひ。
 
地球から火星に物を運ぶ際に月を経由するとコストが1/10になるとの試算があるそうです。
現在、アメリカで打ち上げ予定の新ロケット「SLS」ですが、不具合があり、発射が何回か延期になっていますが、このロケットがアルテミス計画の最初の打ち上げロケットになります。
 
ここからは、トークセッションで印象的だった話を取り上げます。
 
まずは水!月産月消!
現在、月に物を運ぶ際に1kg=2億円くらいのコストがかかるそうです。
500mlのペットボトルをイメージするとわかりやすいのですが、あれで約1億円です。
もし月面で水が確保できればその分、輸送費はかかりません。
今後の宇宙開発のポイントはいかに資源を宇宙空間で調達できるかどうかです。
 
現状、月に水が存在することわかっているのですが、まだ発見はされていないとのことで、月のどこに、どのくらいの量の水or氷があるかを発見することが、今後の月開発を大きく左右します。
水があると、飲料水や植物プラント、また水素を取り出したら、エネルギーやロケット燃料としても利用できるので、月での持続的な駐留が現実味を帯びてきます。
 
日本の月面開発を主導する官民学で結成された月産業ビジョン協議会では、2040年には、月に1000人規模の有人滞在を想定した計画を掲げています。月面開発のプロセスが説明されているので、こちらもお時間あればどうぞ。
【月面産業ビジョン協議会 -Planet 6.0時代に向けて-】
 
って、2040年って、すぐですよ。。宇宙ビジネスというと、まだまだ先のことかと思いますが、実際は我々の子供たちが大きくなるときは当たり前の産業になっている感じです。
 
求む!民間国産宇宙輸送企業!
宇宙ビジネスには、いくつかの分野があります。主なところをあげると、、
・輸送(人・物を宇宙空間まで運んでいくロケットの開発・打ち上げサービス)
・衛星インフラ構築・運用(衛星の開発、運用など)
・宇宙データ技術利活用(衛星放送・GPS・衛星データの活用など)
・宇宙旅行、滞在、探査,資源開発、などなど
 
中でも輸送は他の領域の基礎になるので、ここを押さえると自国での宇宙開発が有利になると言われています。スペースXは政府・民間から輸送を請け負い、その費用で自社のサービスのための衛星機器をバンバン打ち上げています。
 
日本の小型衛星のベンチャー企業も海外の輸送会社に頼らざるを得ない状況なので、国内で宇宙輸送を商業化できれば今後の宇宙産業で大きなポジションを取ることができます。
幸いにも日本は東に海があるため、ロケットの発射で地理的優位性があります。
その優位性を生かしたスペースポート計画が現在も日本各地で進んでいます。
 
宇宙産業は2050年で、200-300兆円規模になるとの試算があります。日本の自動車・エレクトロニクス産業で培われた技術は宇宙産業にも転用できるので、日本にとっても非常に魅力的な産業です。
 
小型レーダー衛星ベンチャーQPS研究所
また今回は、小型レーダー衛星を開発されているQPS研究所の大西社長が登壇されるセッションもあり、そちらもとても興味深い内容でした。
 
QPS様は以前、Fusicが地上システムの開発をサポートさせていただいたこともあり、常に注目している企業様です。
 
今年の10月7日には、QPS様の開発した小型衛星2機を積んだロケット「イプシロンロケット6号機」が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられます。
 
これまでQPS様は2機の小型衛星を打ち上げていますが、いずれも海外まで輸送しての打ち上げでした。
しかし今回は国内、しかも九州圏内、陸路での輸送なので、非常に助かったとセッションで語っていました。
確かに船での輸送は精密機械にとって大きなリスクになりますし、輸出手続きなども考えるとその大変さは雲泥の差ですね。
 
我々も今回の打ち上げをとても楽しみにしています。
Fusicでも現在、宇宙関連プロジェクトを進めていますので、適宜情報共有をさせていただきます!
 


 
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