執筆
カテゴリー
宇宙
衛星データ
Report
テキスト
投稿日
Feb 24, 2023
 
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提供:QPS研究所

はじめに

今月2月10日JICA(国際協力機構)とJAXA(宇宙航空研究開発機構)主催の宇宙人材育成リトリートに参加してきましたので、その報告をいたします。
 
今回のプログラムの主旨は宇宙工学を学ばれている留学生に対して実際の宇宙ビジネスの現場を体感してもらうというものです。福岡県では、産官学が連携して宇宙産業の発展に取り組んでいる背景もあり、今回のイベントが実施されることになりました。(前回は筑波宇宙センターで実施。)
 
今回参加された学生さんは、東京大学、京都大学、慶応義塾大学、九州工業大学等に留学されているベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、ルワンダ出身の学生さんたちです。
 
参加企業は商業小型SAR衛星の開発をされているQPS研究所様、またQPS研究所様の開発しているSAR衛星の部品を作られている久留米市のものづくりチームのNPO法人円陣スペースエンジニアリングチーム(以後、e-SET)と当社が参加しました。
 
今回参加されていたe-SETの企業は以下の会社でした。
オガワ機工様:衛星全体の設計、組立、調整を担当
木曾コンサルタント様:機械設計のコンサルタント
村井製作所様:衛星の中で使用されている機械部品を製作
津留崎製作所様:歯車加工の専門で衛星の部品の中でもキーとなる歯車の製作
アイアント工業様:衛星の中でも特殊な形の部品製作
ウメダさま:衛星本体のフレームなど、主に衛星の中でも大きな部品の製作
e-SETの詳しいお話はこちらをどうぞ。
 
Fusicでは、QPS研究所さまの地上局システムをクラウドで実現した背景や、最近の衛星データ解析プロジェクトについてもお伝えできることがあると思い、雜賀と石橋で参加させていただきました。

当日のイベントについて

当日のイベントは以下の流れでした。
・QPS研究所様の事業紹介
・QPSファウンダーの八坂先生からのメッセージ
・パートナー企業の活動紹介 |パネルディスカッション
 
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パネルディスカッションのテーマはこちらでした。
・衛星開発に携わるようになったきっかけ
・開発の際のハードル
 
e-SETの企業様からは、元々衛星開発をすると思ってなかったが、当時九州大学でSAR衛星開発の研究をしていた八坂先生の熱意を感じて開発に参入したこと、さらに衛星開発に関する知識・経験はないが、ものづくりには自信があったというエピソードを聞いて、なんだか胸が熱くなりました。
 
話をお伺いすると、久留米はブリジストン創業の土地であり、その結果自動車部品の工業技術が発展したという背景がありました。宇宙産業の話の文脈で、衛星やロケット開発などの製造には自動車産業の技術を横展開できるという話を聞きますが、まさに今回の開発はその流れと一緒でした。
 
さらに開発途中には各社様々な障壁のエピソードが非常に興味深かったです。
産業機械では、堅牢で丈夫なものが求められるので、その分質量が大きくなるが、SAR衛星の部品であれば堅牢はもちろんですが、質量を下げないといけないといった制約があったり、無重力状態での正常な動作の検証、さらに開発時間もたくさんあるわけではないので、納品スケジュールにも苦労したとのことでした。
 
話を聞くだけでも手に汗握る内容で、改めて民間による小型SAR衛星開発の凄さを体感しました。
我々も地上局システム開発の際に衛星データを取り扱うための法律の取得など、苦労した点をお伝えさせていただきました。
 
さらに現在進めている衛星データを活用した需給連携の最適化のプロジェクトも説明させていただきました。
 
イベント終了後にも学生さんからのSARデータ解析の具体的な質問が来たりと、学生さんからの意欲の高さも感じました。
今回のイベントを通じて、QPS様の小型SAR衛星開発プロジェクトのチームの方々と実際にお会いしてディスカッションできたことは非常に良い経験でした。
我々も引き続き宇宙・衛星産業の発展に尽力していきたいと思います。
 
当日はNHK様の取材が入っていましたので、イベントの様子はこちらをご覧ください。
 
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